五味について

五味について


今回は、普段皆様が体に取り入れる食べ物についてのお話をします。


東洋医学では『五入』といって、五つの味のものが親和性をもって入る臓は決まっているとされています。


酸っぱいものは肝

苦いものは心

甘いものは脾

辛いものは肺

しょっぱいものは腎に入るというものです。



 この五つの味はそれぞれの臓腑に入り、それぞれの臓腑を癒すことができます。


肝が弱っているときは体が酸っぱいものを求め、酸味が肝を栄養する。

心が弱っているときは体が苦いものを求め、苦みが心を栄養する。

肺が弱っているときは体が辛いものを求め、辛みが肺を栄養する。

腎が弱っているときは体が塩辛いものを求め、塩辛いものが腎を栄養する。


 これらは五角形であらわされる関係にあり、偏って摂りすぎると弊害も生まれます。


 例えば、脾が弱っているときは、酸っぱいものを摂りすぎると悪化します。

肺が弱っているときは苦いものを摂りすぎてはいけません。

腎が弱っているときは甘いものを摂りすぎてはいけません。

肝が弱っているときは辛いものを摂りすぎるといけません。

心が弱っているときは塩辛いものを摂りすぎてはいけません。


 また、五つの味にはそれぞれの働きもあります。


酸っぱいものは筋肉などを引き締める収れん作用、

苦いものには炎症をおさえ、物を固める作用、

甘いものには緊張を緩め、痛みをとったり滋養強壮にも役立ちます。

辛いものには発散作用がありますし、風邪をひいたときに発汗を促す作用があります。

塩辛いものには物をやわらげる作用があります。

そのため、同じものを毎日摂り続けるということは現代栄養学的に見ても、漢方学的に見てもあまり良いものではありません。

健康づくりのための『1日30品目』という標語は2000年には厚生労働省で用いられなくなったとされています。

栄養バランスを考えるのに確かに30という数はあまり意味がないかもしれませんが、

漢方薬膳など、古くからの書物にも記載されているように栄養バランスをうまく保つのに多くの味の種類のものを摂ることは必要です。

味というものは結局その食物の栄養成分からできているものだからです。

毎日栄養価計算してからお食事を摂ろうとすれば骨が折れますが、

5つの味のものを意識して食材を選ぶと、簡単に普段のお食事に取り入れやすいと思います。

少しでも皆様のお役に立てますことを願って、次回も食事についてお話します。

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